CB400Fとは?

名車CB400FOUR(408cc)の登場!

スーパースポーツの原点に返り、CB350FOURをベースに欧米で流行の兆しが見えた流麗なカフェレーサースタイルを取り入れ、4into1集合マフラー等の採用で高い人気を誇ったモデル。『ヨンフォア』の愛称で親しまれています。
『ヨンフォア』の初期型は、排気量408cc。

1974年12月4日、市販車初の4into1集合マフラーを採用した、カフェレーサースタイルの4気筒モデルCB400Fourが登場。ミドルクラスのスーパースポーツと言う新境地を開拓するために生まれたこのバイクが、動力性能向上の為に、408ccと言う排気量に設定されたのは、ホンダが主要輸出国であるアメリカを意識したからであった。それは、当時のアメリカで流行していた『カフェレーサー』スタイルを見ても明らかで、正式デビュー前に開かれたホンダのディーラーミーティングで初めて、社外の人間に公開されたのも、アメリカのラスベガスであったと言う事実が、アメリカ市場への意識をよく表していますCB350Fourをベースとして開発されたこのバイクはCB350Fourのボアを4mm広げ、6速ミッションを採用。大人しい外観のCB350Fourとは大きく異なったそのスタイリングは、セミフラットハンドルに流麗な4into1集合マフラー、14ℓを確保しながらもスリムなフューエルタンクとテールエンドをアップさせたシート。フューエルタンクには「SUPER SPORT」のマークも加わって、走りをアピール。排気量を408ccとし、最高出力37馬力、最大トルク3.2kg-mと言うスペックを持っていました。またミッションは、当時としては珍しかった6速が採用され、2次減速比の設定も高めにセットされていました。これは明らかに主要輸出国であるアメリカでの長距離の走行を想定したものであった。海外モデルとして、先行発表されたCB400Four。ミドルクラス唯一のインラインフォアモデルとして存在しましたが、当時はまだ段階免許制度が導入されておらず、より大きな550や750へとユーザーの目は向きがちでした。


CB400FOUR−Tとは?

’75年10月、自動二輪の新免許制度の導入で、
ホンダが辿り着いた決断…

1975年10月より施行された自動二輪免許の段階免許制度によって、’76年3月5日に新たにCBシリーズにラインナップ、中型自動二輪免許所持者に向けて排気量を398ccとしたこのモデルが、CB400FOUR−Tなのです。
基本的なスタイリングとスペックは、408cc
モデルのCB400Fと同様で、同時に発売されたCB400FOUR−Uとの主な違いは、ハンドル形状に伴う、若干の車輌サイズにありました。FOUR−Tは、408モデルと同様のスポーティな感覚を持つセミフラットハンドルを持ち、外観上でのFOURとの違いは、それまでガソリンタンクと同色に塗られていたサイドカバーがブラックとなった事、タンデムステップの取り付け形状が、それまでのスイングアーム直付けから、フレームマウントへ変更された事等、その差は極わずかでした。
エンジンは、ボア(内径)51mm、ストローク(行程)は1.2mm縮小の48.8mm、最高出力36馬力8,500rpm、最大トルク3.1kg-m/7,500rpmのスペックを持っていた。これは、408モデルのエンジンをベースにボア(ストローク)ダウンされたもの。車重は、408モデルより1kg増の185kgとなり、データ的には、最高速度が公表値で5km/h落ちの165km/hと、わずかながらダウンする事となったのでした。免許制度の改正などによる時代背景から、より安全対策に重点を置いたモデルがこのCB400FOUR−TとUなのです。生産期間は、1976年から1977年までの僅か2年間。約1,000台が生産出荷されるに至りました。


CB400FOUR−Uとは?

二代目モデル、CB400FOUR−U、
FOUR−T同様、国内販売専用モデル、398cc

CB400FOUR−Tと同時に発表されたFOUR−Uは、FOUR−Tのセミフラットハンドルに対し、よりオーソドックスなスタイル。
ロングツーリングなどに適した一般的なライディングフォームが得られます。セミアップのスタンダードタイプハンドルを装着したモデル。FOUR−Tと同様、国内販売専用モデルです。
エンジンに関する基本的なスペックは、FOUR−Tと同様。車体スペックに関しては、セミアップハンドルの採用により、FOUR−Tに対して、全高で45mmアップの1085mm、全幅で75mmワイドの780mmとなった。全幅に関しては、CB350FOURとほぼ同数値となっている。ちなみにハンドル幅は、FOUR−Tの705mmに対し、708mm、ハンドル高は約40mmに対し、約111mmと発表されている。その他、サイドカバーは、FOUR−Tと同様のブラック仕上げ、タンデムステップの取り付け方法もFOUR−Tと同じです。フラットハンドルをオリジナルとして完成されていたCB400FOUR、CB400FOUR−Tのスタイルからすると、CB400FOUR−Uのセミアップハンドルは、本来のコンセプトから少し外れたものであった。しかし、市場では、この一般的なライディングスタイルの方が好評を博し、FOUR−Tを上回る、約6,500台のFOUR−Uが生産出荷されました。この為、398ccの国内仕様にこだわって中古車を探すとなると、FOUR−Uの方に当たる確立が高いです。


カラーリング・ヴァリエーション

カラーリングの面においても、
革命児だったヨンフォア!

CB400Fが登場する以前のバイクのカラーリングは、メタリック系カラーを中心とした、落ち着いた感じの物が多く、これは社会全体の風潮が「高級な物をよし!」とする指向に大きく影響されています。高度成長期の頃は、豪華な物こそが最上級とされていました。それが、これまでのバイクシーンにも大きく反映されていたと言えるでしょう。しかし、CB400Fが登場した1974年は、第一次オイルショックの直後であり、前途の価値観が大きく変ろうとする筋目にありました。そんな中で、CB400Fはカフェレーサースタイルにふさわしい鮮やかなソリッドカラーのカラーリングで登場し、それまでのバイクのカラーリングの概念を打ち破ったのでした。1974年に登場したCB400FOURのカラーリング・ヴァリエーションは、ライトルビーレッドとバーニッシュブルーの2種類でした。ストライプなどのデコレーションを一切排除し、ソリッドカラーに塗られたタンクには、HONDAとSUPER SPORTの文字のみが、両サイドに貼られていました。『HONDA』の文字はゴールドで縁取られ、ライトルビーレッドのタイプでは文字の地色がブルー、バーニッシュブルーの方はレッドとなっていました。『SUPER SPORT』の文字は共にゴールド。サイドカバーの色は共にタンクと同色で『400FOUR』の文字がゴールドとなっていました。
追加モデルの398cc仕様、FOUR-TとFOUR-Uでは、バーニッシュブルーの代わりにパラキートイエローと言う鮮やかな黄色のタンクが用意されました。タンクの文字は地色がレッドで、ゴールドの縁取り。FOUR-TとFOUR-Uは、408ccモデルとの差別化を図るために、サイドカバーがタンクと同色ではなく、ブラックへと変更されています。『400FOUR』の文字は、3車共通のゴールドとなっています。それらが国内仕様のCB400FOURのカラーリング・ヴァリエーションとなっていますが、輸出仕様には、これに2本のピンストライプを持ったイエローとマルーンの2タイプがありました。サイドカバーはタンクと同色となっています。


『 4into1 』 排気システムとは?

出力の向上、消音効果、さらに軽量化と機能美。
量産二輪車に採用する為の技術的問題を研究、
テストの結果完成した、高効率排気システム

<4into1>排気システムは、それぞれのシリンダーから排出される排気ガスの流れを一箇所に集め、4シリンダーの爆発サイクルとエキゾーストパイプの長さを微妙なマッチングを利用して、消音効果と出力向上を実現させた物です。『動』の400を表現する為に採用された、美しいメッキの4into1タイプ集合マフラーは、CB400FOURの最も特徴的な部分。当時の4気筒モデルの主流だった4本マフラーに比べて、約6kgの軽量化を実現したと言われ、排気効率のアップと消音効果を高めています。滑らかなアールを描いて集合チャンバーへと導かれるエキゾーストパイプ。4本のエキゾーストパイプの長さは、4つのシリンダーの爆発間隔と微妙なマッチングが図られるのと同時に、メンテナンス性向上のため、オイルフィルターを避けるレイアウトとなっています。

しかしながら、この4into1マフラーの完成までには、開発者の多くの苦労の連続だったと言われています。CB350Fの反省点としてユーザーから挙がっていた声には、『価格が高い』『4気筒の割りに2気筒よりもスポーティに走らない』『マイルドで静か過ぎる』『迫力がない』『加速感がない』などがありました。そこでホンダの開発者チームはこの中から特に『価格』と『2気筒に対して走らない』と言う二つの項目を最優先の研究課題としました。そんな中で、コストの削減とパワーアップとスタイリング上のアピールポイントとして採用されたのが<4into1>マフラーでした。

開発で、とても苦労をしたと言う<4into1>マフラー。取り回しをどうするのか、途中の排気チャンバーをどうするかなど、多くの悩みを抱えながら、結局、図面は引かずにまずは手造りで曲げてみて、現車に合わせながら作られました。寸法を測り、それから図面が起こされました。エキゾーストパイプの湾曲部は、オイルフィルターから逃げる為の物でした。
マフラーの集結部が、レイアウトの関係からクランクケースのすぐ横になってしまい、それで排気が最初に集まる集合部が熱を持ってしまってエンジン温度を上げてしまう。その為、CB400Fは油音が少し高めなのです。思惑では、エキゾーストパイプを湾曲させて、横にずらしたので空いたスペースから冷却風がクランクケースに当たって、冷えるはずだった。
市販車初と言う理由で注目を集めた集合マフラーですが、その特徴は集合部だけにあったわけではなく、その他にも新しい試みがありました。それは、集合部から後ろのテールパイプ部を、ロールで造ったこと。それまでは、モナカタイプ、つまり上下半分ずつで鉄板を曲げ、溶接してパイプ状にしていたのですが、これを1枚の鉄板を巻いて造ることに成功。コスト削減が目的だった、これを苦労の末実現させたのでした。開発陣が知恵を絞って、品質を落とすことなく、コスト削減の方策を模索した努力がうかがえます。